直説法(deklara modo、reala modo)の時制には現在、過去及び未来があり、それぞれの動詞の語尾は -as、-is 及び -os である。現実(のこととして話し手が表現しようとする)動作及び状態を表現する。継続中の動作は分詞形容詞を使った複合時制を使う方法もあるが、単純時制を使う方が一般的である。
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Mi estas studento. (ミ・エスタス・ストゥデント)=「私は学生です」
Li ĵus finis la laboron. (リ・ジュス・フィーニス・ラ・ラボーロン)=「彼はたった今仕事を終えました」
ドイツ語などのように、近い過去や近い未来、確定した未来を現在形で言ってしまうことはない。過去はあくまでも過去、未来はあくまでも未来である。確定した未来か未確定の未来かは、エスペラントでは区別されない。
不定法
不定法(不定詞・不定形ともいう。neŭtra modo, infinitivo)の品詞語尾は -i であり、辞書に載っている形である。動詞句をつくることができるが、定動詞とは異なり、主文をつくることはできない。
エスペラントの不定詞(不定形)には時制がない。ちなみにイド語の不定詞には現在、過去、未来の区別がある。
不定詞の名詞的用法
不定詞の名詞的用法(infinitivo kiel subjekto 主語としての不定詞)は不定詞を名詞のように扱うことである。主語、目的語、補語の役割を果たす。目的語として用いられた場合でも、対格語尾 -n は付かない。名詞を修飾するのは形容詞であるが、動詞を修飾するのはあくまで副詞である。これは主語たる不定詞の述語として用いられるのもまた副詞であるということを意味する。
Paroli estas facile, fari estas malfacile. (パローリ・エスタス・ファツィーレ、ファーリ・エスタス・マルファツィーレ)=「言うは易く、行うは難し」
複合動詞
動詞 devi, deziri, rajti, povi などの後に動詞の不定詞を置くことで、複合動詞(kompleksa verbo)のようにすることができる。英語での助動詞と不定詞との関係とよく似ている。ただし、devi、deziri、rajti、povi などは、いわゆる「助動詞」ではない。エスペラントには「助動詞」という品詞は存在しない。
Mi povas paroli vian lingvon. (ミ・ポーヴァス・パローリ・ヴィーアン・リングヴォン)=「私はあなたの言葉を話すことができます」
Vi volos reveni. (ヴィ・ヴォーロス・レヴェーニ)=「あなたは帰りたいと思うだろう」
Li devis maldungi ilin. (リ・デーヴィス・マルドゥンギ・イーリン)=「彼は彼らを解雇しなければならなかった」
仮定法
仮定法(kondiĉa modo, imaga modo)の語尾は-usである。
事実とは逆の仮定
Se mi estus birdo, mi povus flugi en la ĉielon.(セ・ミ・エストゥス・ビールド、ミ・ポーヴス・フルーギ・エン・ラ・チエーロン)=「もし私が鳥ならば、空に向かって飛んで行けるのだが」
単純な仮定法では時制はないが、厳格に現在、過去、未来の時制を表したい場合は複合時制を使う方法がある。
命令法(意志法)
命令法(ordona modo)の動詞の語尾は-uである。命令だけでなく、依頼、要求または禁止など主語に対する話者のそうあって欲しいという「意志」を表現するため、意志法(vola modo)とも呼ばれる。命令文で主語がviのとき、特に強調する場合を除いて主語viは省略される。
Iru !(イール !)=「行け!」(主語viは省略)
Vi iru !(ヴィ・イール !)=「君が行け!」(省略せず、viを強調。他の誰でもなく「君が」行け)
Li iru.(リ・イール)=「彼に行かせろ」(彼が行くべきだという話者の意志・願望)
Mi iru. (ミ・イール)=「私が行きます」(私こそが行くべきだという話者(すなわち私)の意志)
Ni iru !(ニ・イール!)=「行こう!」(私たちが行くんだという話者(すなわちniの中の一人としての私)の意志。英語のLet's go. に相当)
Mi petis, ke li savu min. (ミ・ペーティス、ケ・リ・サーヴ・ミン)=「私は彼に助けてと頼んだ」(彼に助けて欲しいという主文の主語(すなわち私)の意志)
Ĉu ni iru al la kinejo ?(チュ・ニ・イール・アル・ラ・キネーヨ ?)=「映画に行きませんか?」(私たちが行くべきかどうか、聞き手の意志を尋ねる体裁で勧誘している)
コピュラ
動詞esti は、ラテン語のsum, esse, fui、フランス語の être、イタリア語の essere、英語の beなどに相当するものである。日本語では「ある」と訳されることもある。 非常に重要な動詞で存在を表現したり、コピュラ文の他、分詞形容詞を伴って複合時制の文を作ることが出来る。for-est-i, est-ont-aのようにesti自体に接辞を付ける事ができる。コピュラは2つの名詞句をつなぐ。
表現
あいさつ
Saluton. (サルートン)=「やあ」
Tre agrable. (トレ・アグラーブレ)=「はじめまして」
Bonan matenon. (ボーナン・マテーノン)=「おはよう」
Bonan tagon. (ボーナン・ターゴン)=「こんにちは」
Bonan vesperon. (ボーナン・ヴェスペーロン)=「こんばんは」
Dankon. (ダンコン)=「ありがとう」
Ĝis revido. (ヂス・レヴィード)=「さようなら」/ Ĝis. (ヂス)=「またね」
文
Mi estas tre ĝoja konatiĝi kun vi. (ミ・エスタス・トレ・ヂョーヤ・コナティーヂ・クン・ヴィ)=「あなたと知り合いになれてとてもうれしいです」
Mia nomo estas ?.(ミーア・ノーモ・エスタス・?)=「私の名前は?です」
Mi estas japana.(ミ・エスタス・ヤパーナ)=「私は日本人です」
Kiel vi fartas ?(キーエル・ヴィ・ファルタス ?)=「お元気ですか?」
記数
1 - unu (ウヌ)
2 - du (ドゥ)
3 - tri (トリ)
4 - kvar (クヴァール)
5 - kvin (クヴィン)
6 - ses (セス)
7 - sep (セプ)
8 - ok (オク)
9 - naŭ (ナゥ)
10 - dek (デク)
100 - cent (ツェント)
1000 - mil (ミル)
日本語由来のエスペラント単語
以下の語の中には元来は日本語以外の言語から借用され(漢語、外来語)、後に日本語を通じてエスペラントに借用されたものも含む。参考のため、それら語源の別も付記する。ないものは日本語固有語(やまとことば)起源である。
animeo アニメーオ (アニメ、ラテン語animaからできた英語animationに由来) 日本のアニメ、日本式の画風のものをいう。国を限定しないなら二重語のanimacio
aikido アイキード (合気道、和製漢語)
cunamo ツナーモ (津波) 学術用語としての「気象以外の要因による波」だけでなく、単なる大波(ondego)として使われたり、「押し寄せるもの」の例えに使う場合もある。
ĉanojo チャノーヨ (茶の湯 → 茶道、前半部ĉaは漢語) Japana teceremonioと言う方が多い。
ĉirimeno チリメーノ (縮緬、後半部menは漢語)
eno エーノ (円、漢語)
goo ゴーオ (碁、漢語)
hajko ハイコ (俳句、和製漢語)
harakiro ハラキーロ (腹切り → 切腹)
haŝioj ハシーオイ (箸) かつて用いられたが、箸は日本以外でも使用されるため、文化を限定しない単語としてmanĝobastonetoj マンヂョバストネートイ(「食事」+「小さな棒」の複数形)が造られた。
hibakŝo ヒバークショ (被爆者、和製漢語)
ĵudo ジュード (柔道、和製漢語)
kamikazo カミカーゾ (神風) 神風特別攻撃隊の略称「神風」が転じて「自爆テロ」も指す。
kapao カパーオ (河童)
karaokeo カラオケーオ (カラオケ、後半部はギリシャ語orkhestraに由来する英語orchestraから)
karateo カラテーオ (空手、琉球語の「唐手」から。[要出典])
katano カターノ (刀 → 日本刀)
kimono キモーノ (着物)
mangao マンガーオ (漫画、和製漢語) 日本風の漫画(Japana bildliteraturo)に限定して使用する。日本のアニメを含む場合もある。国を限定しない漫画はbildliteraturoを使用する。アメリカ風ならkomiksoがある。
noo ノーオ (能、和製漢語)
origamio オリガミーオ (折り紙)
sakeo サケーオ (酒 → 日本酒)
samurajo サムラーヨ (侍)
ŝintoo シントーオ (神道、和製漢語)
ŝogio ショギーオ (将棋、漢語) Japana ŝako「日本チェス」という言い方もある。
ŝoguno ショグーノ (将軍、漢語)
suŝio スシーオ (寿司)
tankao タンカーオ (短歌、和製漢語)
tofuo トフーオ (豆腐、漢語)
udono/udonoj ウドーノ、ウドーノイ (うどん、漢語「饂飩」) 単数・複数のどちらも使われる。
utao ウターオ (歌 → 和歌)
zorioj ゾリーオイ (草履、和製漢語)
bonsajo ボンサーヨ (盆栽、和製漢語)
エスペラント由来のネーミング
ザメンホフ・エスペラント・オブェクト
ザメンホフまたはエスペラントに由来するネーミングを持つ物体(モニュメント・場所・建物・乗り物など)は総称してザメンホフ・エスペラント・オブジェクト(Zamenhof/Esperanto-Objekto, ZEO)と呼ばれる。ZEOという単語はヒューゴ・レーリンゲルが1997年に発表した Monumente pri Esperanto[2]で使用した語である。彼はその著作で世界54の国にある1044のZEOを紹介した。 世界エスペラント協会にはZEOを扱う委員会がある。
最初のZEOは1896年に進水したスペインの船舶「エスペラント」である。
著名なエスペラント由来のネーミング
アノンシスト賞 - 優秀なアナウンサーに与えられる賞。「アナウンサー」を意味するanoncisto(アノンツィスト)に由来している。
「エスペラント」 - 言語名の「エスペラント」、もしくは元々の意味の「希望する者」に由来する。エスペラント (曖昧さ回避)を参照。
釜石線 - 各駅にエスペラントによる愛称が付けられている。
ホンダ・シビックフェリオ - 本田技研工業のシビックのセダンバージョン。サブネームのフェリオは「休日」を意味するferio(フェリーオ)に由来する。
中井正広のブラックバラエティ - 日本テレビ系列の番組。サブタイトルのnigra varieteo(ニグラ・ヴァリエテーオ)は、「黒いバラエティ」を意味する。
丸の内オアゾ - 複合商業施設。 「オアシス」を意味するoazo(オアーゾ)に由来している。[3]
宮沢賢治は作中の地名に、実在の地名(主に東北地方)をエスペラント風にしたものを用いていた。「イーハトーヴォ(岩手)」「モリーオ(盛岡)」「センダード(仙台)」など。また、彼の原作になる劇場用アニメ映画「銀河鉄道の夜」では、そのシーン毎のタイトル、劇中に出てくる商店の看板、学校の先生による板書、印刷物、無線電信文等にエスペラントが用いられた。
井上直久は、作品の題などに、本人が在住している大阪府茨木市をエスペラント風にした、「イバラード」という名称を用いている。
ヤクルト(Yakult)- ヤクルト本社が製造・販売製造している乳酸菌飲料。「ヨーグルト」を意味する jahurto(ヤフルト)に由来している[4]。
山田線 - 釜石線営業所管内の浪板海岸駅から釜石駅までの各駅にエスペラントによる愛称が付けられている。
学生専用マンションの会社である株式会社ジェイ・エス・ビーの、100%出資の関連会社である株式会社オーヴォ(OVO)。エスペラントで「卵」の意と、ラテン語で「歓声をあげる」のダブルミーニング(同社の公式ホームページより)。
イッセイ・ミヤケ(三宅一生)プロデュースの腕時計にも"OVO"というものがある(但し、デザインは工業デザイナーの山中俊治である)。
株式会社エー・アイ・シーが展開している化粧品のブランドにも「オーヴォ(OVO)化粧品」というものがある(卵の美容成分を活かしている為。会社ロゴは実際に卵をモチーフにしている。同社の公式ホームページより)。
出版社の株式会社ポプラ社が2005年から2007年まで発行していた、日本初の心理学系雑誌の月刊Psiko(プシコ、より正しくは「プスィーコ」である)。エスペラントで「精神」の意の単語より。